バーチャルマーケット参入の動機

　花王グループカスタマーマーケティング株式会社（以下KCMK）は、花王および花王グループ各社が生産する製品を販売する専門商社です。

KCMKは、花王のファンを増やすための“話題化”ができるコンテンツとして、各種SNSやライブコマースのほか、未開拓の分野であった「メタバース」に着目。様々なメタバースプラットフォームを比較検討した結果、来場者数や開催時の圧倒的な盛り上がりを見て、「“話題化”に一番つながるのはバーチャルマーケットだと確信」し、バーチャルマーケット（通称Vket）への参加を決定しました。

KCMKの担当者はまず、Vketの雰囲気や熱量を実感すべく、「バーチャルマーケット2023 Winter」にて小規模ブースを出展。Vketの世界観や来場者の動きを理解し、KCMKは「バーチャルマーケット2024 Summer」に本格的に出展することを決めました。

Vket2024 Summerにて展開した、花王のシンボルとして使われている月をモチーフにしたブース外観

取り組み内容

　「バーチャルマーケット2024 Summer」の企業出展会場の一つである「パラリアルドバイ」に、花王のシンボルとして使われている「月」をモチーフにしたブースを展開。会場の雰囲気にも合うきらびやかな外観で、多くの来場者が足を止めて写真撮影をしている姿が見られました。

“はっちゃけた”コンテンツで社のイメージを払拭

ブースでは、『スッキリ爽快！THE ヨゴレ退治』ゲームを展開。汚れをイメージした闇の亀裂が目の前に現れ、亀裂に触れると臭いの王である「臭王(におう)」と敵の「ヨゴレ」がいる別空間にワープ！「薬用ハミガキピュオーラ」、「リセッシュワイドジェットストロング」、「メンズビオレ顔もふけるボディシート」などの花王製品をテーマにしたアイテムを手にとって「ヨゴレ」たちをどんどん退治するディフェンス無双ゲームが楽しむことができます。

アイテムを使って「ヨゴレ」たちを退治するディフェンス無双ゲーム、製品の再現度も高い

「ヨゴレ」を放出しながらどんどん大きくなって襲いかかってくる「臭王」に追い詰められ大ピンチに陥ったその時、花王のシンボルマークの月が現れ臭王を撃退、きれいな空間が広がり、ゲームは終了。ブースに戻ると、自分の「ヨゴレ」退治数が表示され、記録を撮影できるフォトスポットが現れます。

ゲームで使用した製品などを3Dモデルで展示し、ECサイトを通じて購入できるコーナーも設置

小売企業とのコラボコーナーも設置

　花王ブースでは、大手小売業のドン・キホーテ、カインズとのコラボコーナーも設置しました。

ドン・キホーテとのコラボコーナーでは、ドン・キホーテ公式キャラクターのドンペンくんがお出迎えし、ドン・キホーテと花王のコラボ限定パッケージの「メンズビオレ　顔もふけるボディシート」を使って、汚れたマッチョマネキンをきれいにする速さを競うゲーム『ボディフキフキタイムトライアル』を展開。

カインズとのコラボコーナーでは、スティック型衣料用洗剤「アタックZERO パーフェクトスティック」がぴったり収納できる「カインズ詰替ケース」が並べられ、そこから出てくるスティックをチンアナゴと間違えずに掴む『アタックZERO パーフェクトスティック掴みゲーム』を展開しました。

どちらもゲームを楽しみながら花王製品を身近に感じていただけたほか、「花王ブースにドンキがいた！意外！」や「カインズの店舗でVketで見たやつ発見！」といった画像付きのSNS投稿が見られるなど来場者の反応も良く、小売企業からも「ぜひまたコラボしたい」といった声を頂けたほど、好評の企画となりました。

　堅実なイメージの強い花王。しかし、今回の遊び心のあるコンテンツが実現した背景には、「”話題化”させるなら今までの花王グループがやったことのないような”はっちゃけた”ことをやってほしい」という経営層からの後押しもあったそうです。現在流行っているディフェンス系や無双系のゲーム要素を盛り込めばVketのメインユーザーである若年層男性に刺さるのではということから、「花王（かおう）」をもじって「臭王（におう）」というキャラクターをHIKKY担当者が提案したことをきっかけに、担当者間でイメージがドンドン膨らんでいき、今回のような"はっちゃけた”コンテンツが完成しました。

Vket出展による効果

今回の出展では、想定以上の方がブースに来場され、コンテンツを楽しんでくださいました。

出展目的のひとつであった若年層へのリーチや、「花王のブースがはっちゃけている！」といった狙い通りのSNS投稿も見られ、良い反響を得ることができました。さらに、今回のコンテンツは何度もゲームにチャレンジされる方が多く、その分ブース滞在時間も長くなり、滞在時間の長さが商品及び会社への親近感向上につながったと考えられます。

リアルイベントではなかなかリーチできなかった若年層男性に花王及び花王製品をリーチできたこともとても良かった点だといいます。さらに「ゲームで使ったあの商品、気になってた」「使ってみたい」といったSNS投稿やアンケート回答も多く見られ、ゲームを楽しんでもらいながら、自然と商品の訴求・認知拡大をしっかりできたことも今回のイベントの大きな効果です。

話題化という面でも、Web媒体を中心とした多くのメディアで露出ができたこと、期待通りのSNS投稿が想定以上にポストされたことで満足のいく結果となり、今回のイベントのKPIは全て達成できたそうです。

　KCMKの担当者は、「メタバースを第２の生活空間として捉えたときに、生活者に寄り添いたいと考える花王グループだからこそできることを実現していきたい」と語ります。

今後もメタバースを活用し、流通・小売企業とのコラボレーションもより強化しながら、若年層への認知度拡大、新規ファン創出をめざしていきたいとのことです。

花王グループカスタマーマーケティング株式会社ご担当者からのコメント

バーチャルマーケットへの出展により、メタバースにおいても花王が新しいことに挑戦している姿勢や、意外とはっちゃけていることが伝えられたのではないかと考えております。

今後もメタバースの可能性を探りつつ、リアルとデジタルの融合などを含め、様々な表現方法を模索してまいります。